2025年、桜が咲き誇る春の日本に、かつてない数の観光客が訪れました。観光庁の発表によると、3月までの訪日外国人旅行者数は累計で1,053万7,000人。これは過去最速での1,000万人突破という快挙です。
東京の街角にはスーツケースを引く外国人観光客の姿があふれ、京都や大阪の人気スポットは平日でも長蛇の列。
しかしこの盛り上がりは、観光業にとどまりません。外国人による日本の不動産投資も、静かに、しかし確実に活発化しています。
円安=買い時?本当にそうか
現在の為替レートは、1ドル=140円を超える水準。これは外国人にとって「日本の不動産が30%以上割安に見える」という計算になります。特にアジア圏や欧米の富裕層にとっては、今がまさに“バーゲンセール中”のように見えるわけです。
それもあってか、都心部の高級マンションやオフィスビルだけでなく、地方の旅館や古民家、さらには小規模な一棟アパートまで、購入対象の幅が広がっています。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
4~5年前に買った人が、今、苦しんでいる理由
実は、4~5年前にすでに「円安で買い時だ」と判断して日本の不動産を購入した外国人投資家たちが、現在、想定外の状況に直面しています。
その頃の為替レートは、1ドル=110円前後。今の140円台と比べると、円はさらに大きく下落しています。
不動産価格が多少上がったとしても、売却して自国通貨に戻すときには**「為替差損」**を抱えてしまうというケースが少なくありません。
このように、円安の波に乗ったつもりが、さらに円安が進行すると逆に損失が出るという「為替トラップ」に嵌ってしまうのです。
為替は“敵”にも“味方”にもなる
もちろん、これは逆にも言えます。
今後もし円高に転じれば、為替差損は縮小し、場合によっては為替差益が発生する可能性もあります。
例えば、1ドル=140円のときに不動産を買って、将来1ドル=120円の時点で売却・本国通貨に戻す場合、実質的に円での価値が増えたように見えるというわけです。
つまり、為替はリターンを押し下げる“リスク”であると同時に、リターンを押し上げる“チャンス”にもなり得るのです。
我々が海外不動産を買うときにも言えること
これは外国人だけの話ではありません。私たち日本人が海外の不動産に投資する際にも、同じ構図が当てはまります。
「円高の今がチャンス」と思って購入しても、その後さらに円高が進めば為替差損が出る可能性があります。
また逆に、円安に振れれば売却時に為替差益が出ることもあるでしょう。
ただし、不動産投資は為替リスクだけではありません。もう一つの大きな要素が「カントリーリスク」です。
カントリーリスクというもう一つの壁
不動産の法制度は国によって大きく異なり、登記制度、所有権の保護、税制、外資規制など、把握すべき情報は非常に多岐にわたります。
たとえば、ある国では「外国人の土地所有が制限されている」「法律が頻繁に変わる」「政情不安で通貨価値が激しく上下する」など、現地事情が投資成否を左右することも珍しくありません。
現地の信頼できるパートナーの存在や、トラブル時に法的対応ができるかどうかも、慎重に見極める必要があります。
結論:今こそ“出口”を考えた不動産投資を
インバウンド需要に支えられ、日本の不動産市場は現在も注目を集めています。
しかし、不動産投資は「買った時点」よりも、「売却=出口戦略」がものを言います。
だからこそ、
- 為替の動向
- 市場の成長性
- 法制度や政策リスク
この三拍子を軸に、慎重かつ戦略的に投資を進めていくことが求められています。
今が「円安で割安」だからといって飛びつくのではなく、10年後の自分が笑っていられる投資判断を心がけたいものです。

