「マンション大規模修繕巡り談合疑い 公取委が約20社に立ち入り」というニュースが報じられた。仕事柄、さまざまなマンションを見てきたが、正直なところ「やっぱりな」という感想を持っている。
特に疑念を抱くのが、管理組合に顧問としてマンション管理士が入り込んでいるケースだ。この管理士が修繕業者の選定に関与している場合、不透明な取引が行われている可能性を疑わざるを得ない。
また、マンション管理士がいない場合でも、管理会社が業者選定を主導し、相見積もりを取らずに特定の業者しか選定しないケースもある。こうした状況では、競争が生まれず、適正価格での工事が実施される保証がない。
マンションの大規模修繕は、住民にとって非常に大きな費用負担となる。そのため、本来であれば透明性のあるプロセスで業者が選ばれるべきだ。しかし、実際には管理組合が業界の慣例や知識不足によって特定の管理士や業者に依存し、競争原理が働かないまま契約が進んでしまうケースが少なくない。
修繕業者と管理士、または管理会社の間に癒着があると、相場よりも高額な工事費が設定されたり、質の低い工事が行われたりするリスクがある。住民が適正価格で適切な修繕を受けるためには、管理組合が主体的に情報を収集し、第三者のチェックを入れるなどの対策を講じることが必要だ。
また、行政や公正取引委員会などの機関がマンション管理の透明性を向上させる仕組みを整備することも重要だろう。談合の疑いが持たれている以上、徹底した調査と必要な制度改革が求められる。
マンションの大規模修繕は、一部の関係者だけでなく、住民全体に影響を与える重要なプロジェクトだ。公正な業者選定が行われる環境を整え、不正が入り込む余地をなくすことが、長期的なマンション管理の健全化につながるのではないだろうか。