バブル期、1990年代の投資用不動産営業といえば、まさに”熱い”時代だった。

当時の営業スタイルは、今のようなデジタルマーケティングやYouTubeでの広告などとはまるで違う。昼夜を問わず、お客様と真正面から向き合い、関係性を深めながら、なんとなく盛り上がった勢いで契約を結ぶ。そんな泥臭くも人間味あふれる営業が当たり前だった。

深夜にお客様と面談するのも珍しくなかったし、一緒に麻雀を打ったり、ゴルフに行ったりすることも日常茶飯事。接待というよりは、むしろ共に楽しみながら信頼関係を築くのが営業マンの腕の見せどころだった。お客様の懐に入り込み、”この人から買ってもいいかな”と思ってもらう。そんな営業スタイルが主流だったのだ。

最近では、不動産営業のイメージといえば、楽待などのYouTubeでたまに目にするような強引で恫喝まがいの手法を思い浮かべる人もいるかもしれない。しかし、バブル期や1990年代の営業マンたちのスタイルは、決してそんなものではなかった。

確かに、押しの強い営業トークはあったが、それは恫喝ではなく、あくまでも熱意の表れ。お客様の背中をそっと押すような形で、”せっかくだから一緒に夢を見ませんか?”という雰囲気作りが大切だったのだ。

ある先輩営業マンは、”お客様が決められないなら、俺が決めてやる!”と言って、冗談交じりに契約書を差し出すこともあった。お客様も苦笑いしながら”しょうがないな”とサインする。そんな、どこか人情味のある世界だった。

契約が決まれば、そのまま深夜の寿司屋へ直行し、豪快に祝杯をあげる。売る側も買う側も、その場の熱気に酔いしれる。そうしてまた翌日も、新しいお客様と新たなドラマが始まるのだった。

時代が変わり、営業スタイルも変わった。しかし、バブル期や1990年代の投資用不動産営業には、今では味わえない”泥臭くも熱い”人間ドラマが確かにあったのである。

1990年代の投資用マンション営業——ファミレス店長と不動産投資ブーム

1990年代、日本の不動産投資市場は熱気を帯びていた。中でも、ファミリーレストランの店長たちは、不動産投資をする人が多かった。その理由は明確だ。多くのファミリーレストランは上場企業が経営しており、その店長たちは安定した収入を持ち、銀行の融資審査が通りやすかったのだ。

投資用マンションを販売する営業マンにとって、ファミレスの店長は格好のターゲットだった。電話帳を頼りに企業リストを漁る必要もなく、直接ファミレスに電話をかけて「店長いますか?」と聞けば、それだけで営業が始められた。店長の名前が分からなくても問題なし。営業マンは昼夜を問わず、電話をかけ続け、アポイントを取ることに専念した。

深夜のファミレスに呼び出される営業マン

ある日、私はファミレスの店長から「ちょっと話したいことがあるから、0時に店に来てくれ」と呼び出された。普通のビジネスなら深夜の商談はありえない。しかし、ファミレスの店長は遅くまで勤務するため、夜中に話を聞くのは日常茶飯事だった。

店に着くと、そこには店長だけでなく、他のファミレスの店長仲間も集まっていた。すでに仕事を終え、リラックスした様子の彼らは、コーヒーを片手に不動産投資の話を始めた。

「この前買ったワンルーム、利回りが結構いいんだよ」 「でも管理費が思ったより高くてさ……」 「銀行のローン、どこが一番条件いいかな?」

私も営業マンとして、彼らの話に加わるしかなかった。マンションの利回りや融資条件、今後の市場動向……深夜のファミレスは、まるで不動産投資サロンのような空間になっていた。

気がつけば、もう朝の5時。そろそろ帰ろうかと思ったそのとき、「せっかくだから、もう一軒行こうか!」という声が上がった。ファミレス店長たちは、夜が明けるまで投資の話を続ける気満々だった。

90年代ならではの営業スタイル

このように、1990年代の投資用マンション営業は、今とは異なる独特の文化があった。SNSもメールも普及していない時代、営業は対面と電話がすべて。ターゲットを見つける方法も、まるで今の時代のようにデータ分析を駆使した戦略的アプローチではなく、「電話をかけまくる」「深夜でも会いに行く」といった泥臭いものだった。

だが、その泥臭さこそが、人と人とのつながりを生み、信頼を築く営業スタイルだったのかもしれない。

今振り返れば、あの深夜のファミレスでの時間は、90年代の不動産投資ブームを象徴する出来事のひとつだったのだと思う。

バブル期の不動産営業の光と影 ~1988年、新卒社員が見た驚愕の実態~

バブル経済が華やかに咲き乱れた1988年、日本の不動産業界は狂乱の時代を迎えていました。土地の価格は青天井、買えば必ず値上がりするという確信が市場を支配し、不動産営業マンたちはまさに「時代の寵児」となっていました。そんなバブルの最前線に、新卒として飛び込んだ私が目にしたのは、想像を絶する営業スタイルでした。

驚異的な営業成績を誇る上司の“秘策”

当時、私の上司だったA氏(仮名)は、飛ぶ鳥を落とす勢いで営業成績を上げ、役員の座にまであと一歩というところまで昇進していました。彼の成績が群を抜いていたのは、卓越した営業トークや市場の先読み能力によるものはもちろんのこと、まさかの「夜の営業術」でした。

彼は自ら「枕営業」と称し、富裕層の女性顧客たちと親密な関係を築くことで、次々と契約を成立させていたのです。曰く、「夜を共にすれば契約はもらったも同然」。彼の周囲では、次々と高級マンションや投資用物件が売れていき、社内では「色恋営業の達人」として一目置かれる存在になっていました。

成功の裏にある危うさ

当然ながら、そんな営業手法は倫理的にグレーゾーンどころか、ブラックに近いものでした。しかし、バブル経済の熱狂の中では、結果を出すことが何よりも求められました。A氏の成績が爆発的に伸びるにつれ、会社も彼の営業手法には暗黙の了解をしていたようでした。

ただ、バブルは永遠には続きません。市場が崩壊し、土地神話が崩れ去るとともに、A氏のやり方も次第に通用しなくなっていきました。顧客の資産が目減りし、投資の失敗で恨みを買うケースも出てきたのです。そして、ある日突然、彼は会社を去りました。噂によれば、取引先とのトラブルが原因だったとも、あるいは社内の派閥争いに敗れたとも言われています。

バブルの残像、そして今

バブル期の不動産営業は、まさに狂気と熱狂が入り混じる世界でした。A氏のような手法が横行していたのも、この時代ならではの現象だったのかもしれません。しかし、バブルが弾けた後の現実はあまりにも残酷でした。彼のように、時代の波に乗って急成長した者ほど、崩壊の波に飲み込まれるのも早かったのです。

30年以上経った今でも、バブル期の逸話は語り継がれています。しかし、A氏のような生き方が現代のビジネスシーンで通用するかといえば、答えは明らかでしょう。バブルの狂騒に踊らされた者たちの光と影を、私たちは忘れてはならないのかもしれません。

(※この物語は、実際にあった話をもとにしていますが、一部フィクションを交えております。)

バブル期の不動産営業のリアル——「行ってきます」と言って喫茶店へ

1988年、新卒で不動産業界に飛び込んだ私は、すぐにこの業界の“独特な”実態を知ることになった。バブル経済の真っ只中、不動産は「売れば売れる」「何をやっても儲かる」時代。そんな中で働く不動産営業マンたちの多くは、まさに自由気ままな日々を過ごしていた。

「行ってきます」と言って仕事せず

朝、出社すると上司や同僚が「行ってきます!」と元気よくオフィスを出ていく。新人だった私は、「営業活動ってこんなに外回りが多いのか」と感心していた。しかし、しばらくすると、誰も本当に仕事をしていないことに気づいた。

彼らはどこへ行くのか? その答えは簡単だった——喫茶店だ。

オフィスを出た営業マンたちは、行きつけの喫茶店に集まり、コーヒーを飲みながらスポーツ新聞を広げる。時には仲間と競馬やパチンコの話で盛り上がる。昼寝をする者もいる。とにかく「仕事」ではない時間を優雅に過ごしていた。

昼間は寝て、夜はバイト?

驚くことに、昼間の仕事をほとんどせず、夜間に別のバイトをしている営業マンもいた。昼間は外回りという名目でひたすら寝る。そして夜になるとクラブのボーイやガードマン、時には居酒屋の店員として働くのだ。

それでも営業の数字が立つのは、バブル経済のなせる技だった。不動産が飛ぶように売れ、適当にやっていても契約が取れる。お客様も「とにかく買えば値上がりする」と思っていたので、営業の努力など関係なかったのだ。

そんな営業スタイルでも成り立った時代

もちろん、すべての営業マンが怠けていたわけではない。真面目に働いていた人もいたし、トップ営業マンはしっかり稼いでいた。しかし、そうでなくても何とかなったのがこの時代だった。

バブルがはじけた後、多くの会社が倒産し、そんな営業スタイルは通用しなくなった。不動産業界は一変し、本当の実力が問われる時代へと突入した。

今振り返ると、あの時代は夢のようでもあり、異常でもあった。しかし、そんなバブル期の不動産営業を体験できたことは、ある意味貴重な経験だったのかもしれない。

大島てると「告知事項あり」物件の問題点

不動産業界において「告知事項あり」という表記は、物件に何らかの特記事項があることを示しています。多くの場合、これには「心理的瑕疵(しんりてきかし)」、つまり過去に事件や事故があった物件が含まれますが、それだけに限りません。建物が傾いていたり、雨漏りなどの構造的欠陥がある場合にも「告知事項あり」とされることがあります。

事故物件情報を集約し公開しているサイト「大島てる」では、一般の人々が「告知事項あり」とされた物件を情報提供するケースがあります。しかし、不動産広告における「告知事項あり」の詳細までは記載されていないことが多く、情報をそのまま掲載すると、あたかも心理的瑕疵がある物件のように誤解を生む可能性があります。

誤解が生じるリスク

  1. 実際には心理的瑕疵がない物件も掲載される 例えば、単に建物が老朽化していたり、耐震性に問題がある場合でも「告知事項あり」とされることがあります。しかし、「大島てる」にその情報が掲載されると、「過去に何か事件があったのでは?」と憶測を呼ぶことになります。
  2. 風評被害の発生 誤った情報や誤解が広まることで、物件の価値が下がったり、売却や賃貸が困難になるケースが考えられます。実際に心理的瑕疵がないのに「事故物件」と誤認されることは、不動産オーナーにとって大きな不利益となります。
  3. 情報の信頼性の低下 「大島てる」は事故物件情報のデータベースとして一定の信頼を得ていますが、情報の真偽を精査せずに掲載すると、サイト全体の信頼性が低下する恐れがあります。

どうあるべきか?

  • 情報の精査を強化する 一般ユーザーが投稿する情報について、心理的瑕疵かどうかの確認を行い、単なる建物の瑕疵情報と区別する仕組みを導入すべきです。
  • 「心理的瑕疵」と「物理的瑕疵」の区別を明確にする 「大島てる」内で、物件の問題が心理的なものなのか、それとも建物自体の問題なのかを明示するカテゴリ分けを行うと、誤解を減らせるでしょう。

「大島てる」のような情報サイトは、適切に運営されれば消費者にとって有益なものになります。しかし、情報の扱い方を誤ると、不動産市場に不要な混乱を招く可能性もあるため、慎重な対応が求められます。

大島てると風評被害について

事故物件の情報を掲載することで知られる「大島てる」は、不動産購入や賃貸を考える人々にとって有益な情報源である一方、風評被害を生む可能性も指摘されています。

1. 勝手に書き込みができる仕組み

大島てるのサイトは、基本的にユーザーからの投稿によって成り立っています。そのため、

  • 他者を陥れるための悪意ある書き込み
  • 単なる誤情報(他の物件との混同など)
  • 虚偽の情報(実際には事故がなかった物件)

といった問題が生じるリスクがあります。さらに、そもそも警察などの公的機関は個人情報や守秘義務の関係上、特定の物件での事件・事故について第三者に情報提供を行いません。その結果、書き込みは個人の主観によるものになりやすく、誤情報が拡散される原因となっています。

2. 情報の裏付けの難しさ

虚偽の情報を防ぐためには、事実確認が重要ですが、一般の人が事件・事故の有無を裏付ける手段は限られています。

  • マスコミの報道を調べる
  • 裁判記録を確認する
  • 裁判を傍聴する

これらの方法を用いるしかなく、一般の人が手軽に検証するのは困難な状況です。そのため、不正確な情報が掲載されるリスクが常に存在します。

3. 被害者が負担する手続きの問題

仮に虚偽の情報が掲載された場合、それを削除するためには、基本的に被害者側が行動を起こさなければなりません。

  • 裁判所に開示命令を求める手続きが必要
  • サイト運営者に削除申請をしても、明確な基準がないため対応が不透明

この点については、GoogleやFacebookの「なりすまし詐欺広告(Google AdsやFacebook広告の詐欺問題)」と同じく、被害者側に負担がのしかかる仕組みになっており、理不尽と言わざるを得ません。

4. 運営者の責任の所在

サイト運営者は「申し出があって、事実でないと証明されれば削除する」と述べています。しかし、

  • 「事実でない」ことの証明は困難
  • 削除基準が曖昧で統一されていない

といった問題点が指摘されます。仮に虚偽の情報が掲載された場合でも、サイトの開設者には直接的な責任が問われにくい仕組みになっており、風評被害を受けた側が泣き寝入りするケースも考えられます。

5. 法的整備の必要性

こうした問題に対処するためには、以下のような法整備が求められます。

  • 虚偽情報の投稿者に対する厳格な罰則の導入
  • 削除申請時の迅速な対応を義務付ける法改正
  • 運営者の責任をより明確にするガイドラインの策定

「知る権利」と「守られるべき権利」のバランスを取るためにも、透明性の高いルール作りが急務と言えるでしょう。

宅地建物取引業法違反とは?

最近、無資格で土地や建物の売買を繰り返したとして、不動産会社の元社長が逮捕されたというニュースが報じられました。このケースのように、宅地建物取引業の免許を持たずに頻繁に不動産の売買を行うと、「宅地建物取引業法違反」となり、無免許営業として罰則が科される可能性があります。

宅地建物取引業とは?

宅地建物取引業(以下「宅建業」)とは、営利目的で土地や建物の売買・交換・賃貸借の代理や仲介を行う業務を指します。これを業として行うためには、「宅地建物取引業の免許」を取得する必要があります。免許を取得せずに頻繁に売買を行うと、法律違反となります。

どんなケースが違法なのか?

以下のようなケースでは、無免許で宅建業を営んでいると判断される可能性があります。

  1. 頻繁に不動産の売買を繰り返す
    • 一定回数以上の売買を継続的に行うと、「業として」営んでいると見なされ、免許が必要になります。
  2. 法人や個人で直接売買を行う
    • 会社の名義でなくても、個人で多数の不動産を売買している場合も規制の対象になります。
  3. 仲介業者を通じて売買しても違法になるケース
    • 免許なしで売買行為を繰り返していると、たとえ仲介業者を介して取引をしていたとしても、宅建業法違反に問われる可能性があります。

違反するとどうなる?

宅建業法に違反し、無免許で営業を行った場合、以下のような罰則が科されることがあります。

  • 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(もしくはその両方)
  • 行政処分や営業停止命令
  • 違法取引による利益の没収

まとめ

不動産取引をする際は、宅建業の免許が必要かどうかを慎重に判断し、適法に取引を行うことが重要です。もし不動産の売買を考えている場合は、信頼できる不動産会社や専門家に相談し、適切な手続きを踏むことをおすすめします。

自主管理マンションの落とし穴:見えないお金の流れ

先日、「マンション大規模修繕巡り談合疑い 公取委が約20社に立ち入り」というニュースについて述べましたが、これに関連して、管理会社が入っていない自主管理の区分所有マンションについて触れたいと思います。

実は、不動産取引をする中で、こうした自主管理のマンションに問い合わせをすることがよくあります。しかし、そこで直面するのは、驚くべき実態です。

予算書・決算書が存在しない!?

驚くことに、私の肌感覚では自主管理のマンションの90%以上が予算書や決算書を作成していないような気がします。通常、分譲マンションでは管理費や修繕積立金を住民が毎月支払い、それを適切に管理・運用するのが当たり前です。しかし、自主管理のマンションでは、その資金がどのように使われているのか、財産がどのくらいあるのか、まったく把握できないケースが少なくありません。

また、取引時に必要となる「重要事項に係る調査報告書」も発行してもらえないことが多いです。この報告書がなければ、買主側もマンションの財務状況を確認できず、不透明な取引になりかねません。

住民のお金が理事長の私的流用に!?

さらに恐ろしいのは、管理費や修繕積立金が適正に管理されていないケースがあることです。過去には、理事長がこれらの資金を私的に流用し、最終的に事件化したケースもありました。こうした問題が発覚した時には、すでに多額の資金が消えており、住民たちは泣き寝入りするしかないという事態に陥ることもあります。

なぜこうした問題が起こるのか?

  1. チェック機能の欠如:管理会社が入っていないため、第三者による監視機能が働きにくい。
  2. 専門知識の不足:会計処理や財務管理の知識がない住民が管理業務を担っているため、不適切な運用が起こりやすい。
  3. 透明性の欠如:管理組合が会計報告を行わず、情報共有が不十分なため、不正が見えにくい。

どうすれば防げるのか?

自主管理マンションに住んでいる、または購入を検討している方は、以下の点を確認することをおすすめします。

  • 会計報告が適切に行われているか:予算書や決算書の作成、定期的な監査が実施されているか確認する。
  • 管理組合の運営体制:理事会が定期的に開催され、適正な意思決定が行われているか。
  • 外部の専門家の関与:必要に応じて、管理会社や専門家のアドバイスを受ける体制があるか。

まとめ

自主管理のマンションは、管理会社を介さないことでコストを抑えられるメリットがあります。しかし、その反面、財務管理の不透明さや不正のリスクが伴います。住民の大切なお金が適切に管理されているか、しっかりチェックすることが必要です。

マンション管理は「誰かに任せればいい」というものではなく、住民一人ひとりの意識と努力が求められるのです。

物件探しの条件が多すぎる?それとも曖昧すぎる?

不動産を探すお客様の中には、売買・賃貸を問わず「条件が多すぎる」または「条件が決まっておらず曖昧」というケースが少なくありません。このような場合、物件探しに膨大な時間がかかり、時には理想の物件にたどり着けないこともあります。

今回は、条件が多すぎる場合と曖昧すぎる場合、それぞれの課題と解決策について考えてみましょう。

1. 条件が多すぎる場合

問題点

  • 予算、エリア、間取り、築年数、駅距離など、条件を細かく設定しすぎると該当する物件がほとんどなくなってしまう。
  • レインズやポータルサイトで検索してもヒット件数が極端に少なくなる。
  • すべての条件を満たす物件を探すのに時間がかかりすぎる。

解決策

  1. 条件に優先順位をつける
    • すべての条件を満たす物件はほぼ存在しないため、「絶対に譲れない条件」と「妥協できる条件」を整理する。
    • 例えば、「駅徒歩10分以内」「3LDK」「築10年以内」「南向き」「ペット可」などの条件がある場合、
      • 絶対に譲れない条件 → 「駅徒歩10分以内」「3LDK」
      • 妥協できる条件 → 「築15年以内」「東向きでも可」
  2. 理想を100%満たす物件ではなく、80%の満足度を目指す
    • 完璧な物件はなかなか見つからないので、妥協できる点を見つけながら探す。

2. 条件が曖昧すぎる場合

問題点

  • 「良い物件があれば紹介してほしい」と言われても、お客様の好みが分からず、どのような物件を提案すれば良いのか分からない。
  • 予算やエリアの指定が広すぎると、検索結果が膨大になり、逆に選びきれなくなる。
  • 「なんとなく探している」という状況では、具体的な物件を決めるまでに時間がかかる。

解決策

  1. ライフスタイルをヒアリングする
    • 「通勤時間」「家族構成」「趣味」「将来の予定」などをヒアリングして、具体的な条件を一緒に整理する。
    • 例えば、「静かな環境で暮らしたい」と言われたら、「郊外の閑静な住宅街」や「マンションの高層階」を提案。
  2. 過去の成約事例を見せる
    • 実際に成約した物件の例をいくつか見せることで、お客様の好みを探る。
    • 「この物件はどうですか?」といくつか提案しながら、具体的な条件を引き出す。
  3. 予算やエリアの上限・下限を決める
    • 「東京23区内で探したい」という場合、エリアをもう少し絞る。
    • 「〇〇駅周辺」「△△区限定」など、具体的な範囲を設定することで、スムーズな物件探しが可能に。

まとめ

物件探しで時間がかかる主な原因は、「条件が多すぎる」または「条件が曖昧すぎる」ことです。効率的に理想の物件を見つけるためには、

  • 条件の優先順位を決める。
  • 80%満足できる物件を目指す。
  • ライフスタイルに合った条件を整理する。

このような工夫をすることで、物件探しのスピードが格段にアップします。もし「なかなか理想の物件が見つからない」と悩んでいる方は、一度条件の整理から始めてみてはいかがでしょうか?

1980年代の悪質地上げと土地トラブル

1980年代、日本全国で「地上げ」と呼ばれる強引な土地買収が横行し、多くの住民が深刻な被害を受けました。地上げとは、不動産業者や投資家が土地や建物を買収し、より高い利益を得るために再開発を進める行為ですが、この時期には違法な手法や暴力的な手段が多く用いられました。

当時の社会的背景

1980年代から1990年代にかけて、日本はバブル経済の真っただ中にあり、不動産価格が急騰していました。土地を持っているだけで資産価値が上がるため、投機目的での土地取引が活発化しました。特に都市部では、大規模な再開発プロジェクトが進められ、地上げ業者が違法な手法を使って土地を取得するケースが相次ぎました。

この時代の特徴として、以下のような要因が挙げられます。

  • 地価の高騰:日本銀行の金融緩和政策によって、土地価格が急騰し、不動産市場が過熱しました。
  • 投機目的の土地取得:企業や投資家が土地を転売し、高額な利益を得ようとしたため、一般市民が住宅を購入するのが困難になりました。
  • バブル経済の影響:経済成長とともに不動産業界が活況を呈し、悪質な業者が横行しました。
  • 行政の対応の遅れ:法律の不備により、強引な地上げ行為を抑制する仕組みが整っていませんでした。

地上げの手口と横行する事件

この時代の地上げ業者は、住民に対して執拗な嫌がらせを行い、立ち退きを強要しました。例えば、新宿区では地上げ屋がクリーニング店にダンプカーで突入し、店舗をめちゃくちゃに破壊するという衝撃的な事件が発生しました。これは、店主に退去を迫るための強引な手段として行われたもので、住民の間に恐怖が広がりました。

また、地上げに絡んだ放火事件も相次ぎました。住民が退去を拒むと、夜中に火をつけられるという悪質なケースが多発し、地域の安全が脅かされました。これにより、多くの住人が仕方なく立ち退きを選ばざるを得ない状況に追い込まれました。

借地・借家・底地買いによる被害

当時、特に被害が大きかったのが借地・借家の住民でした。地上げ業者は地主と結託し、借地権を持つ住人に対して強引な立ち退きを迫りました。

また、「底地買い」という手法も問題視されました。これは、建物の所有者が借りている土地(底地)を業者が買収し、新たな地主となることで住民に退去を求める手法です。

埼玉県大宮市(現在のさいたま市大宮区)では、ある民家が底地買いに遭い、新しい地主と話し合う間もなく、即日解体されるという信じがたい事件が発生しました。住人にとっては、突然家を失う理不尽な状況に直面し、大きな精神的・経済的ダメージを受けました。

法整備とその後の対策

こうした悪質な地上げ行為が社会問題化し、1980年代後半から1990年代にかけて法整備が進められました。

  • 借地借家法の改正(1992年施行)
    • 借地権や借家権の保護が強化され、正当な理由がなければ立ち退きを強制できなくなった。
    • 賃貸借契約の更新拒絶や立ち退き要求に関する規制が厳格化。
  • 暴力団対策法(1991年施行)
    • 地上げに関与する暴力団の活動を制限し、暴力的な立ち退き強要を取り締まるための法律。
  • 宅地建物取引業法の改正
    • 不動産業者の免許制度を強化し、悪質な取引の規制を強化。
    • 重要事項の説明義務が厳格化され、透明性のある取引が求められるようになった。
  • 不動産登記法の改正
    • 不透明な土地取引を防ぐため、登記情報の管理と公開が強化された。

これらの法改正により、悪質な地上げ行為は大幅に減少し、住民の権利が保護されるようになりました。

まとめ

1980年代の日本では、悪質な地上げが横行し、多くの住民が強引な立ち退きを迫られました。新宿区でのダンプカー突入事件や、大宮市での即時解体事件は、当時の異常な状況を象徴する出来事でした。

しかし、法整備が進んだことで、現在ではこうした強引な手法は厳しく規制されるようになりました。過去の歴史を振り返ることで、今後も不動産トラブルを防ぐための知識を持ち、適切な対応をとることが求められます。