先日、「マンション大規模修繕巡り談合疑い 公取委が約20社に立ち入り」というニュースについて述べましたが、これに関連して、管理会社が入っていない自主管理の区分所有マンションについて触れたいと思います。
実は、不動産取引をする中で、こうした自主管理のマンションに問い合わせをすることがよくあります。しかし、そこで直面するのは、驚くべき実態です。
予算書・決算書が存在しない!?
驚くことに、私の肌感覚では自主管理のマンションの90%以上が予算書や決算書を作成していないような気がします。通常、分譲マンションでは管理費や修繕積立金を住民が毎月支払い、それを適切に管理・運用するのが当たり前です。しかし、自主管理のマンションでは、その資金がどのように使われているのか、財産がどのくらいあるのか、まったく把握できないケースが少なくありません。
また、取引時に必要となる「重要事項に係る調査報告書」も発行してもらえないことが多いです。この報告書がなければ、買主側もマンションの財務状況を確認できず、不透明な取引になりかねません。
住民のお金が理事長の私的流用に!?
さらに恐ろしいのは、管理費や修繕積立金が適正に管理されていないケースがあることです。過去には、理事長がこれらの資金を私的に流用し、最終的に事件化したケースもありました。こうした問題が発覚した時には、すでに多額の資金が消えており、住民たちは泣き寝入りするしかないという事態に陥ることもあります。
なぜこうした問題が起こるのか?
- チェック機能の欠如:管理会社が入っていないため、第三者による監視機能が働きにくい。
- 専門知識の不足:会計処理や財務管理の知識がない住民が管理業務を担っているため、不適切な運用が起こりやすい。
- 透明性の欠如:管理組合が会計報告を行わず、情報共有が不十分なため、不正が見えにくい。
どうすれば防げるのか?
自主管理マンションに住んでいる、または購入を検討している方は、以下の点を確認することをおすすめします。
- 会計報告が適切に行われているか:予算書や決算書の作成、定期的な監査が実施されているか確認する。
- 管理組合の運営体制:理事会が定期的に開催され、適正な意思決定が行われているか。
- 外部の専門家の関与:必要に応じて、管理会社や専門家のアドバイスを受ける体制があるか。
まとめ
自主管理のマンションは、管理会社を介さないことでコストを抑えられるメリットがあります。しかし、その反面、財務管理の不透明さや不正のリスクが伴います。住民の大切なお金が適切に管理されているか、しっかりチェックすることが必要です。
マンション管理は「誰かに任せればいい」というものではなく、住民一人ひとりの意識と努力が求められるのです。
