都市の変化とともに消えた風景──リゾート・住宅街・飲食店の盛衰から見る街の再編

かつて日本には、都心から少し離れたリゾートマンションの1階に高級レストランが並び、住宅街の片隅には個人経営の飲食店が立ち並ぶ、そんな風景が当たり前のように存在していました。しかし、今ではそれらの多くが姿を消し、新しい用途へと姿を変えています。

リゾートマンションと高級店舗の栄枯盛衰

1980年代から90年代初頭にかけて、リゾートマンションブームが日本を席巻しました。その象徴として、マンションの1階に設けられた高級レストランやバーは「非日常の生活空間」を演出し、所有者のステータスを象徴する存在でした。しかしバブル崩壊後、リゾート需要の急落とともにそれらの店舗は次々に閉店。

  • リゾート利用者の減少
  • 管理費や家賃の高騰
  • 観光客・外部客の不足

といった要因が複合的に作用し、現在では空きスペースや住戸転用、あるいは倉庫化されている例が目立ちます。

住宅街の飲食店が消えた理由

駅から離れた住宅地にもかつては定食屋、中華屋、喫茶店といった店舗が点在し、地域住民の交流拠点となっていました。ところが、これらも今や風前の灯です。

主な要因には:

  • 共働き世帯の増加による昼間人口の減少
  • 郊外型チェーン店・大型商業施設への集客集中
  • SNSやグルメサイトによる飲食店の選別圧力
  • 店主の高齢化と後継者不足

などがあり、特に「平日の昼に客がいない」という構造的問題が、地域の個人店舗を苦しめました。

西新宿の温泉街

ちなみに、かつて東京の西新宿には「温泉街」が存在していました。新宿という都心から程近い場所で、日常生活の中に温泉を取り入れるというユニークな文化があったのです。1960年代から1980年代にかけては、ビジネスマンや観光客が集まる場所として、温泉施設が多く立ち並びました。しかし、高度経済成長の終息とともに、都市化が進み、西新宿の温泉街は次第にその姿を消していきました。

この変化には、都市の再開発ビジネス・住宅需要の変化が影響しています。温泉街に代わって、オフィスビルや商業施設が立ち並び、新宿はさらにビジネスエリアとして発展しました。

消えたものの代わりに発展したもの

こうして空いたスペース、あるいは変化した需要を埋める形で、以下のような業種・施設が急速に発展しています:

  • コンビニ・ドラッグストア・ファストフード
  • クリニック・調剤薬局・訪問介護拠点
  • 保育所・高齢者施設
  • サテライトオフィス・コワーキングスペース
  • 賃貸アパートや小規模集合住宅

つまり、非日常や社交の場が求められていた時代から、「生活機能」としての利便性が重視される時代への転換です。

専業主婦から共働きへ──街の機能が変わった

背景には明確な社会構造の変化があります。かつて、専業主婦が日中を地域で過ごすことが前提だった時代には、住宅街の飲食店や地元商店が生活と交流の場として成立していました。

しかし共働きが一般化した現在、

  • 昼間は住宅街が空洞化
  • 時短・効率・在宅を前提としたサービスが優位

という条件が、街の機能そのものを変えました。今求められているのは、”生活を回す”ためのインフラであり、”娯楽”や”交流”の場は二の次になりつつあります。

まとめ:都市の記憶とこれからの再編

都心近くのリゾートが消え、住宅街の飲食店が姿を消したその跡地には、今、新たな都市機能が芽吹いています。それはどれも”生活密着型”であり、時代のニーズを反映したものです。

街は生き物であり、人の暮らし方が変われば姿を変えます。過去の風景を懐かしむと同時に、いま求められている機能に目を向けることが、これからの街づくりや不動産活用にとって不可欠なのかもしれません。

「どさくさ」と「勇気」の分水嶺――国有地と戦後の巨人たち

戦後の焼け跡から、誰もが知るあの大都市は生まれました。焦土と混乱、配給と闇市。そんな中で、国有地が次々と払い下げられていったことを、今の若い世代はほとんど知りません。

土地は安かった。今の感覚からすれば信じられないほどに。

しかし――安いからといって、誰もがそれを「買えた」わけではありません。

そこには、未来を信じる勇気と、腹を括る決断が必要だったのです。

たとえば堤康次郎。西武グループの創始者として知られますが、彼が手がけたのはまさに焼け跡の中のインフラと土地の再編。買って、走らせて、建てて、人を集めていった。

小佐野賢治は「昭和の怪物」とも呼ばれたフィクサー。戦後すぐ、財閥解体の渦中で三井鉱山の払い下げに関わり、以後、政財界に深く食い込んでいく。「安く買えた」のは、単に運がよかったからではない。情報と、行動力と、リスクを取る胆力があったからです。

そして田中角栄。彼の「日本列島改造論」は土地の価値を根本から変えた。地方の山林が道路一本で金脈に変わる。そんな時代のうねりを、自らつくり出してしまう側の人間でした。田中と小佐野のラインを想起すれば、どの土地にどんな未来を描いていたか、想像に難くありません。

森ビルの森泰吉郎・森稔父子は、まさに都市開発の象徴。六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズの原点は、昭和30年代、まだ誰も「都心回帰」なんて言い出さない頃に、虫食いのように買い集めた土地にあります。ビルの建つ前、そこにビジョンを描けるか。それがすべてだったのです。

――振り返って、あのとき「買った人」を羨むのは簡単です。

けれど、その時点で、今のような発展を予測できた人など、ほとんどいなかった。むしろ「なぜそんな土地を?」と笑われていた人たちかもしれません。

混乱期の払い下げとは、単なる「掘り出し物」ではない。

見えない未来を買いに行く、覚悟の物語なのです。

「食料品の消費税ゼロで5兆円減収」の大ウソ?〜仕入控除を忘れたらダメでしょ〜

最近またもや、「食料品を消費税ゼロにしたら5兆円の税収減になります」というありがたい“試算”が話題になっている。

財政の健全化が〜、社会保障が〜、というお決まりのセリフとともに。

でも、ちょっと待って。

私たちが消費税について習ったのはいつだろうか。高校の政経?それとも簿記の授業?
たしか、「消費税は仕入税額控除方式で、最終消費者だけが負担する税」って、習ったよね?

それ、どこ行った?

ざっくり計算してみましょうか

「食料品ゼロにしたら税収が5兆円吹っ飛ぶ!」というのは、食料品の年間消費支出が約70兆円あるとして、

70兆円 × 8%(軽減税率)= 5.6兆円

……という、小学生でもできそうな計算に基づいているらしい。

なるほど、確かに見た目の売上税額はそうなる。

でも、これ**「仕入税額控除」の仕組みを完全に無視**してるの、気づいてる?

しかも不思議なことに、この超重要な視点にマスコミもコメンテーターも誰一人として突っ込まない。
「減収!大変だ!」という大合唱に、誰も「ちょっと待って、それ控除考慮してる?」とは言わないのだ。

仕入控除?なにそれおいしいの?という顔で、今日もニュースは流れていく。

仕入控除ってなんでしたっけ?

消費税って、売上に対する税額から仕入にかかる税額を引いて納める仕組み。
つまり、最終消費者が負担して終わる設計。

もし食料品がゼロ税率になったら、

  • 売上にかかる消費税:ゼロ
  • 仕入や経費にかかる消費税:控除できません

事業者にとっては「仕入税額控除」が使えなくなる=その分、コストになる。

これ、国にとっては増収要因なんですよ。

ざっくりモデルで再計算してみる

  • 食料品の売上:70兆円
  • 軽減税率:8% → 売上税額は5.6兆円
  • 仕入原価率:60% → 仕入部分は42兆円
  • 仕入れにかかる消費税(8%):3.36兆円

つまり、食料品をゼロ税率にすると、

  • 売上税額の減収:▲5.6兆円
  • 仕入控除ができなくなる:+3.36兆円(国に残る)

正味の減収:5.6 − 3.36 = 約2.2兆円

あれ?「5兆円」どころか半分以下なんですけど?

それでも「5兆円減収」って言い張るのはなぜ?

答えは簡単。控除分を見せると都合が悪いから。

  • ゼロ税率にしても、すべての税収が吹っ飛ぶわけではない
  • 「コストとして残る」ことで、国には一定の増収が発生する
  • 本当はそこまでの大惨事じゃないことがバレる

だから、「控除の話」は静かに棚上げされる。

そしてそれに、マスコミも有識者もなぜか誰もツッコミを入れない。
あれだけ「税金の使い道を監視するぞ!」と息巻いていた人たちが、
控除ひとつ無視されてもノーリアクション。これが日本の「議論」だ。

最後にひと言

もちろん、税制は簡単な話ではありません。でも、せめて「仕入控除」の話を抜いたまま「5兆円減収」と言い切るのは、不誠実すぎやしませんか。

私たちが納める消費税、
その構造くらい、ちゃんと踏まえて議論してほしい。

せめて、簿記3級レベルでは。

積立金という名の「カツアゲ」:マンション修繕と国家財政の搾取構造

「修繕積立金が足りないので、今すぐ増額を」
この言葉が全国のマンション管理組合で日常のように飛び交っています。まるでテンプレートのように使いまわされる危機感。その背後には、施工業者、管理会社、コンサルタントといった“業界の住人たち”が控えています。

言い方は柔らかくても、やっていることはこうです。

「お金がない? だったら、住民からもっと取ろう。取ったお金の中から“自分たちの取り分”を確保すればいい」

まるでそれは、国家の財政構造と瓜二つ。
財務省の「増税しないと日本は終わる」というスローガンと、どこか重なって見えるのは私だけでしょうか。

集めたお金の中から“抜かれる”構造

マンションの修繕積立金は、住民がコツコツ積み立てた将来への備えです。しかし、気づけばそこに群がる業者、コンサル、管理会社。実際にどれほどの工事が必要か、相見積もりを取ったかどうかも曖昧なまま、「これが相場です」と押し切られる。

その金額、本当に妥当ですか?

同じ規模、同じ築年数のマンションでも、積立金に2倍近い差があることも珍しくない。国レベルでも、同じ先進国なのに国民負担率には大きな開きがあります。日本が高負担なのは、決してサービスが行き届いているからではない。むしろ“見えない利権”にお金が吸われている。

天下りと利権のミニチュアモデル

財務省からの天下り先としての団体、業界団体、政治家、関係省庁…
これをミクロ化すると、マンション管理業界にも見事に当てはまります。

  • 管理会社 → 官僚の出向先のように固定された立場
  • コンサル → 業界に都合の良い“第三者”
  • 組合理事 → 政治家のように素人住民から選ばれ、判断を専門家に依存

つまり、住民=国民の財布から集めたお金が、構造的に“抜かれる”仕組みがここにもあるのです。

真の問題は“格差”ではない、“仕組みの不透明さ”だ

「同じマンションでも積立金に差がある」
「同じ国でも国民負担率が違う」

この違いを生む最大の要因は、“透明性”と“チェック機能”です。

  • 開かれた情報開示
  • 複数の業者からの競争見積
  • 住民の参加意識と教育

これがあるかないかで、かかるコストは劇的に変わります。国家財政も同様です。「なぜ日本はこんなに税金を払ってもサービスが悪いのか?」の答えは、結局この構造の中にあります。

最後に:搾取される側からの脱却

修繕積立金の値上げも、増税も、本当に必要なものなら納得もできます。
でも、「お金が足りない」からと言って、“集めたお金の中から抜く”構造が正当化されていいわけがありません。

この構造を温存してきたのは、「自分には難しい」「プロに任せよう」という無意識の思考停止。そしてその代償を払うのは、いつだって“無知な側”なのです。

搾取構造から脱するために必要なのは、声を上げること、知ること、関わること。

それはマンションでも、国家でも、まったく同じです。

「いらっしゃいませ、国民様」──国家という名のマーケティング企業と“減税異端者”石破政権

日本の政治とは、もはや統治機構ではない。
それは、マーケティング企業である

顧客は「有権者」、製品は「給付金」、販売手法は「ポイント還元」。
そして最大のKPI(成果指標)は、選挙の得票率

財務省の営業マニュアル:減税は在庫切れ、給付金は次回も売れる

石破政権が掲げた減税案に対し、財務省のカウンターはこうだったという。

「給付金なら次の選挙でも配れるが、減税すると配れない」

……え?

政治って「国民の暮らしを守ること」じゃなかったっけ?

どうやら違うらしい。

政治とは、“顧客を釣ってナンボのキャンペーン戦略”であり、減税のように継続的に楽になる制度は、使い勝手が悪いというのが本音だ。

減税=リピーター戦略が通用しない。
給付金=「その場しのぎ」のクーポンで再来店を狙える。

それが今の「政治」の営業戦略。

認知的不協和理論:なぜ国民は怒らないのか?

ここで登場するのが心理学で有名な「認知的不協和理論」。

人は「自分が信じていること」と「現実」が矛盾すると、その矛盾を埋めようとする。

たとえば、「政府は国民のためにある」と思いたい人が、 ・実際には増税される ・ポイントでごまかされる ・年金も減る ・インフレで生活が苦しい

という現実に直面したとき、

「でも…まあ給付金もらえたし」 「日本には借金があるから仕方ない」

自己説得してしまう。

ここに、ポイント還元が絶妙に効いてくる。

3万円相当のポイントを配り、手数料や消費税で5万円回収。
それでも「なんか得した気がする」から、反発が起きない。
まるで、詐欺に気づかない優良顧客だ。

減税は「悪」、給付は「善」?──増税マフィアのPR戦略

減税は、「既得権にとっての危険思想」だ。

なぜなら、減税が定着すれば、 ・政治家は票を買えなくなる ・官僚は財源を握れなくなる ・省庁は予算の“割り振り権力”を失う

だからこそ、減税に取り組む政権には「包囲網」が敷かれる。

石破政権がその異端の旗を掲げたとたん、与野党を巻き込んだ“増税マフィア”の巻き返しが始まった。

これはもう宗教戦争に近い。
**「国民の自由 VS 支配する側の都合」**という構図だ。

政府は国民を見ていない──“お客様”として見ている

いまの政府にとって、国民は「国を構成する主体」ではない。

次のキャンペーンで買ってくれる可能性がある消費者”だ。

・「高齢者層には年金UPという販促」
・「若年層にはマイナポイントや就職支援クーポン」
・「子育て層には異次元の少子化対策という無料トライアル」

それらの目的は、政治信頼の構築ではなく、選挙という“決算”での最大利益

国民はすでに「生活者」ではなく、「ターゲットセグメント」に分類されているのだ。

おわりに──政治の“サブスク解除”を考えるとき

減税とは、こうした「キャンペーン依存政治」からの脱却を意味する。
つまり、買ってもらう政治”から、“任せてもらう政治”への転換だ。

だがそれは、給付型政治の売人たちにとって、最も恐ろしい未来でもある。
だからこそ、徹底的に潰しにかかる。

問題は、我々がその“客”であり続けるかどうか。

「次のクーポンに釣られるか」
「自由な財政政策に投票するか」 選ぶのは、私たちの意思にほかならない。

【インバウンドブームの裏で進行中】外国人投資家と日本不動産の“為替トラップ”

2025年、桜が咲き誇る春の日本に、かつてない数の観光客が訪れました。観光庁の発表によると、3月までの訪日外国人旅行者数は累計で1,053万7,000人。これは過去最速での1,000万人突破という快挙です。

東京の街角にはスーツケースを引く外国人観光客の姿があふれ、京都や大阪の人気スポットは平日でも長蛇の列。
しかしこの盛り上がりは、観光業にとどまりません。外国人による日本の不動産投資も、静かに、しかし確実に活発化しています。

円安=買い時?本当にそうか

現在の為替レートは、1ドル=140円を超える水準。これは外国人にとって「日本の不動産が30%以上割安に見える」という計算になります。特にアジア圏や欧米の富裕層にとっては、今がまさに“バーゲンセール中”のように見えるわけです。

それもあってか、都心部の高級マンションやオフィスビルだけでなく、地方の旅館や古民家、さらには小規模な一棟アパートまで、購入対象の幅が広がっています。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。

4~5年前に買った人が、今、苦しんでいる理由

実は、4~5年前にすでに「円安で買い時だ」と判断して日本の不動産を購入した外国人投資家たちが、現在、想定外の状況に直面しています。

その頃の為替レートは、1ドル=110円前後。今の140円台と比べると、円はさらに大きく下落しています。
不動産価格が多少上がったとしても、売却して自国通貨に戻すときには**「為替差損」**を抱えてしまうというケースが少なくありません。

このように、円安の波に乗ったつもりが、さらに円安が進行すると逆に損失が出るという「為替トラップ」に嵌ってしまうのです。

為替は“敵”にも“味方”にもなる

もちろん、これは逆にも言えます。
今後もし円高に転じれば、為替差損は縮小し、場合によっては為替差益が発生する可能性もあります。

例えば、1ドル=140円のときに不動産を買って、将来1ドル=120円の時点で売却・本国通貨に戻す場合、実質的に円での価値が増えたように見えるというわけです。

つまり、為替はリターンを押し下げる“リスク”であると同時に、リターンを押し上げる“チャンス”にもなり得るのです。

我々が海外不動産を買うときにも言えること

これは外国人だけの話ではありません。私たち日本人が海外の不動産に投資する際にも、同じ構図が当てはまります。

「円高の今がチャンス」と思って購入しても、その後さらに円高が進めば為替差損が出る可能性があります。
また逆に、円安に振れれば売却時に為替差益が出ることもあるでしょう。

ただし、不動産投資は為替リスクだけではありません。もう一つの大きな要素が「カントリーリスク」です。

カントリーリスクというもう一つの壁

不動産の法制度は国によって大きく異なり、登記制度、所有権の保護、税制、外資規制など、把握すべき情報は非常に多岐にわたります。

たとえば、ある国では「外国人の土地所有が制限されている」「法律が頻繁に変わる」「政情不安で通貨価値が激しく上下する」など、現地事情が投資成否を左右することも珍しくありません。

現地の信頼できるパートナーの存在や、トラブル時に法的対応ができるかどうかも、慎重に見極める必要があります。

結論:今こそ“出口”を考えた不動産投資を

インバウンド需要に支えられ、日本の不動産市場は現在も注目を集めています。
しかし、不動産投資は「買った時点」よりも、「売却=出口戦略」がものを言います。

だからこそ、

  • 為替の動向
  • 市場の成長性
  • 法制度や政策リスク

この三拍子を軸に、慎重かつ戦略的に投資を進めていくことが求められています。

今が「円安で割安」だからといって飛びつくのではなく、10年後の自分が笑っていられる投資判断を心がけたいものです。

「トランプの相互関税」と「日本の消費税」——これって、同じことしてない?

トランプ元大統領が打ち出した“相互関税”。

「相手国がこちらに10%の関税をかけてくるなら、こっちも10%返してやれ!」というシンプルかつストレートなロジックだ。経済学者が眉をひそめる一方、直感的には「そうだそうだ!」と感じる人も少なくない。
でも、ちょっと待ってほしい。これ、日本の「消費税」と何が違うのだろう?

消費税=国内版・関税?

関税とはモノの「国境」にかかる税金。
一方、消費税は、モノやサービスの「売買」にかかる税金。国内版の“関税”とも言える。

例えば不動産取引。

建物価格が1,000万円なら、消費税10%で100万円が加算される。
合計で1,100万円。しかもこの100万円は、建物という「国内財」にかかる“罰金”のようなものだ。

なぜ、モノを買うたびに、ペナルティのように税金を取られるのか?

消費税率が上がると、税収も上がる?本当に?

財務省や一部メディアはこう言う。

「消費税率を上げないと社会保障がもたない!財政が破綻する!」

しかし、実際にはどうだろう?

税率を上げたことで消費者は財布のヒモを締め、企業も設備投資を控え、経済全体が冷え込む。
結果的に、所得税や法人税も伸び悩み、総税収が減る。
これ、ラッファーカーブの典型的なケースじゃないですか?

逆に、税率を下げれば?

消費は活発になる。投資も動く。経済が回る。
その結果、総税収は増えるかもしれない。これは理論ではなく、世界中で既に何度も観測されている現象だ。

なぜ誰も突っ込まない? 増税派の「空気」

ここで一つ疑問が浮かぶ。

なぜ、増税派の政治家や官僚、メディアに、誰も「突っ込み」を入れないのか?

・既得権にしがみつく官僚たち
・「財政の危機」を煽るメディア
・「増税こそが責任ある政治」とする政治家たち

この“空気”が支配している限り、冷静な経済議論は吹き飛ばされる。
反論すれば「無責任だ」「ポピュリズムだ」と叩かれる。

不動産業者から見た「消費税の重さ」

現場で不動産売買をしていると、消費税の重さがリアルにわかる。

中古住宅なら非課税でも、新築や建て替えなら課税対象。
同じ家なのに、タイミングによって100万円、200万円の違いが出てくる。
この差が、購入者の決断を左右することもある。

取引が止まれば、関連産業も冷え込む。建築業、インテリア、物流…。すべてが連動している。

結論:税の設計は「空気」ではなく、「効果」で語るべき

税は国家の根幹であり、財政を支える柱だ。
だからこそ、空気や感情ではなく、「経済的な効果」で語られるべきだ。

「税率を上げる=税収が増える」は思考停止。

トランプ流の相互関税に眉をひそめるなら、消費税の設計にも、同じだけの懐疑と議論が必要じゃないか?

消費税ゼロ?それ、本当に「ゼロ」ですか?──仕入税額控除の盲点に誰も突っ込まない不思議

最近、政治の話題でまた「食料品の消費税をゼロにしよう」という話が出ています。選挙が近いとよく出てくるこの話。確かに生活が苦しいなか、消費税ゼロと言われれば、耳障りはいい。でも、税率だけゼロにしても、それだけじゃまったく意味がないんです。

なぜか?

消費税率ゼロでも、「仕入税額控除」ができなければ事業者は損をする

たとえば、スーパーが野菜や米を仕入れ、店を維持するために光熱費や設備投資を行う。このとき、それらの支出にはちゃんと消費税が乗っています。今なら販売時にかかる消費税と相殺(=仕入税額控除)できますが、販売側の消費税が「ゼロ」になると、この控除ができなくなるおそれがある

結果どうなるか。
事業者がその分の消費税をまるごと被ることになるんです。つまり、表向きは「消費税ゼロ」でも、裏側では事業者のコストが増える。そのツケはどうなるかといえば……商品価格に上乗せされるか、サービスが縮小されるか、労働環境が悪化するか。どこかで必ず跳ね返ります。

住宅の家賃がまさに「実質ゼロじゃない」例

この話、架空の理屈じゃありません。すでに日本で起きていることなんです。
住宅の家賃は「消費税非課税」とされています。つまり、税率ゼロです。でも、大家さんが建物を建てたり、修理したり、管理したりするのにかかる経費には当然、消費税がかかっています。

それらについては、まったく控除ができません。その分、大家の負担になる。そして最終的には、家賃に含まれるか、サービスの質が下がる。要するに、税率はゼロでも実質的にはゼロじゃないということです。

メディアも政治家も、なぜそこを突っ込まない?

正直言って、これってかなり重要な話なんです。税制の肝の部分。にもかかわらず、テレビの討論番組でも、政治家のスピーチでも、記者の質問でも、この点に誰も突っ込まない

理解していないのか、あえて言わないのか。それとも、票にならない「地味な真実」は誰も興味がないのか。いずれにせよ、消費税を語るなら「仕入税額控除」抜きでは語れないということは、もっと知られるべきです。

「ゼロ税率」と「非課税」はまったく別物

そもそも税制上、「ゼロ税率」と「非課税」は全然違う制度です。ゼロ税率なら仕入税額控除はできる。非課税ならできない。住宅の家賃は後者。だからこそ、「食料品をゼロに」と言うなら、きちんとゼロ税率にして、控除も全部認める制度設計が必要なんです。

まとめ:本気で減税するなら、制度の裏側までちゃんとやってくれ

表面的な「消費税ゼロ」のスローガンだけで終わらせるのではなく、事業者の現実や税制の仕組みまで踏み込んで議論することが不可欠です。
そしてメディアも、政治家も、コメンテーターも、耳触りのいいことばかり言っていないで、こういう突っ込むべきポイントをきちんと突っ込んでほしい

それが「本当に生活者のためになる税制」への第一歩なんじゃないでしょうか。

【陰謀?偶然?】米国金利急騰の裏で「米国債を売ったのは中国じゃなかった説」が面白すぎる件

最近、アメリカが突然中国との相互関税を「ちょっと一旦やめとく?」と言い出した。理由?表向きには「インフレ対策」とか「消費者の負担軽減」なんて言ってるけど、どうも裏がありそうだ…って話がチラホラ出てきている。

何が起きてるの?

簡単に言えば、米国の金利が上がってる。その原因の一つとして囁かれているのが、「外国勢が米国債を売りまくっている説」。アメリカが自国の借金(国債)を外国に買ってもらってるのは有名な話だが、金利が上がるということは、それを誰かが手放しているということ。

そしてその「誰か」は、ほら、やっぱり**中国でしょ?**って思うじゃん?

国債の保有ランキング見てみたら…?

2024年4月時点でのデータによると、外国の米国債保有ランキングはこんな感じ👇

国名保有額(10億ドル)外国保有総額に対する割合
🇯🇵 日本約1兆1,500億ドル14.3%
🇨🇳 中国約7,707億ドル9.6%
🇬🇧 英国約7,100億ドル8.8%

…え、中国より日本の方が保有してるやん!?

実は売ってたの、日本説。

一部の金融系メディアやTwitter金融クラスタではこんな囁きも。

「米国債の売りが誰からかは分からないけど、保有額から見たらむしろ日本のほうがやばいのでは?」

つまり、

  • 米国債が売られた(=金利が上がった)
  • アメリカ「これは…まずい!」
  • → そこで関税停止カードを切る(インフレ対策っぽく見せかけて実は…)

とストーリーが進んでいくわけです。

で、みんな「中国が仕掛けた金融戦争か!?」と構える中、実は静かに売ってたのが日本だったら笑える。しかも、日銀が「YCC撤廃しました(=長期金利も上がります)」なんて言ってるから、国内的にも「米国債なんて持ってる場合じゃない」って判断があってもおかしくない。

真相は闇の中。でも考えるのが面白い。

もちろん、「誰がいつどれだけ売ったか」なんてリアルタイムには分からない。金利上昇と国債売却にはタイムラグもあるし、売ってるのが民間ファンドか政府系かも特定できない。

でも、こうやってパズルのピースを妄想でつなげてみるのが一番楽しいんだよね。金融ミステリー、最高。

借地権の名義変更料って、トランプ関税かよ!? ~知らぬは買主ばかりなり~

こんにちは、今日は「借地権の名義変更料」について語っちゃいますよ。
え?そんなの地味すぎるって?いやいや、これが結構インパクトあるんです。油断してると、財布が軽くなるどころか、吹っ飛びますからね。

借地権物件ってなに?

マンションでも戸建てでも、「土地は借り物」っていう不思議なシステム、それが借地権。つまり建物はあなたのものでも、その下の大地は地主様のもの。まるで空飛ぶ城です。自由になった気分でも、実はしっかり紐つけられてるんです。

名義変更料とは?

で、いざ借地権付き物件を譲渡しようとすると——はい出ました「名義変更料」。これは地主様に「こんにちは、新しい借主でございます」とあいさつ代わりに払うお金。
しかもその相場、なんと 借地権価格の10%前後

たとえば借地権価格が3,000万円の物件だったら、名義変更料は300万円!?
「ちょっと名義書き換えるだけじゃん!」と叫びたくなる金額です。

借地権価格の仕組みもクセが強い

ちなみに借地権価格って、土地の評価額(公示地価など)の60%~70%くらい。つまり地主さんの土地が1億円なら、借地権価格はだいたい6,000万円~7,000万円ってことに。
その10%って……60万円?70万円?いや、もっと高い物件なら、100万円、200万円、ザラです。

10回名義変更したら地主がウハウハ!

冗談じゃなく、名義変更料って10回まわれば元が取れるってレベル。地主様、気づけば「土地はそのまま、現金はザックザク」。まるで土地の錬金術。

で、何が起きるかって?みんな躊躇しちゃうんです。
「この物件売りたいけど、名義変更料高すぎ」→売れない
「この物件欲しいけど、名義変更料で予算オーバー」→買えない

結果、借地権付き物件は市場での流通がスローダウン。まさに**“トランプ大統領の相互関税”状態**!取引が止まる、経済も停滞。
自由貿易どころか、自由売買崩壊

借地権物件を買うときの注意点

  1. 名義変更料は要チェック:契約前に地主との取り決め、確認マスト。
  2. そもそも借地権価格も要確認:固定資産税評価額 × 借地割合でだいたい計算されてます。
  3. 更新料や地代、建替え承諾料も別にかかる:地味にボディブローのように効いてきます。
  4. 地主との関係が鍵:正直、ここが最大のリスクかも。

まとめ:借地権はディープ、不動産界の裏ダンジョン

借地権物件は、一見お得に見えることもありますが、その裏には名義変更料という**「隠し関税」**が待ち構えてます。知らずに突っ込むと、まるでダークソウルの罠ステージ。

不動産を買うってのは、土地を買うこと。建物だけじゃないのよ。
名義変更料、ナメたらあかん。