バブル期、1990年代の投資用不動産営業といえば、まさに”熱い”時代だった。

当時の営業スタイルは、今のようなデジタルマーケティングやYouTubeでの広告などとはまるで違う。昼夜を問わず、お客様と真正面から向き合い、関係性を深めながら、なんとなく盛り上がった勢いで契約を結ぶ。そんな泥臭くも人間味あふれる営業が当たり前だった。

深夜にお客様と面談するのも珍しくなかったし、一緒に麻雀を打ったり、ゴルフに行ったりすることも日常茶飯事。接待というよりは、むしろ共に楽しみながら信頼関係を築くのが営業マンの腕の見せどころだった。お客様の懐に入り込み、”この人から買ってもいいかな”と思ってもらう。そんな営業スタイルが主流だったのだ。

最近では、不動産営業のイメージといえば、楽待などのYouTubeでたまに目にするような強引で恫喝まがいの手法を思い浮かべる人もいるかもしれない。しかし、バブル期や1990年代の営業マンたちのスタイルは、決してそんなものではなかった。

確かに、押しの強い営業トークはあったが、それは恫喝ではなく、あくまでも熱意の表れ。お客様の背中をそっと押すような形で、”せっかくだから一緒に夢を見ませんか?”という雰囲気作りが大切だったのだ。

ある先輩営業マンは、”お客様が決められないなら、俺が決めてやる!”と言って、冗談交じりに契約書を差し出すこともあった。お客様も苦笑いしながら”しょうがないな”とサインする。そんな、どこか人情味のある世界だった。

契約が決まれば、そのまま深夜の寿司屋へ直行し、豪快に祝杯をあげる。売る側も買う側も、その場の熱気に酔いしれる。そうしてまた翌日も、新しいお客様と新たなドラマが始まるのだった。

時代が変わり、営業スタイルも変わった。しかし、バブル期や1990年代の投資用不動産営業には、今では味わえない”泥臭くも熱い”人間ドラマが確かにあったのである。

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