少し前の話ですが、東京から90km以上離れた関東の僻地で行われた不動産競売についてお話しします。競売にかけられたのは、市街化調整区域に位置する約800㎡の底地でした。この土地には大手コンビニが建物保有目的で賃借しており、月額約25万円、年額300万円という高額な賃料が設定されていました。
周辺の相場は過去の履歴がほとんどなく、売却基準価格は3,480,000円でした。しかし、市街化調整区域ということもあり、私の見立てではせいぜい200万円から300万円程度でしか売れないのではないかと考えていました。
ところが、賃料が年額300万円ということもあり、10%の利回りでも3,000万円という高額な金額になってしまいます。評価額200万円から300万円の土地の借地料は、通常借地の場合、相場は固定資産税の6倍程度といわれており、固定資産税が38,000円くらいですので、せいぜい年額228,000円くらいの賃料にしかなりません。
開札日に確認してみたところ、なんと3,100万円で落札されていました。ここで疑問が生じます。落札した人は将来の借地人の撤退リスクなどを加味していたのでしょうか?また、資産価値がないことや賃料相場より高額な賃料設定がされているため、賃料の減額圧力が働くと推定しなかったのでしょうか?
このようなケースでは、冷静な判断が求められます。競売物件に対する過熱した入札に巻き込まれず、賢明な投資判断を行うためには、情報収集と慎重な分析が欠かせません。市場全体を見渡し、将来的なリスクを十分に考慮することが重要です。