1988年4月、私はオクト株式会社に新卒として入社しました。当時はバブル景気の真っ只中で、経済全体が活気に満ち溢れていました。入社後の研修を終え、新宿支店に配属され、温泉付きリゾートマンション「リーヴル石和」の販売を担当することになりました。
リーヴル石和の販売
リーヴル石和は、山梨県石和町川中島に位置し、価格帯は2500万円台から2700万円台でした。1988年6月に完成し、現地事務所には当番制で定期的に東京から車で通い、待機していました。バブル景気の影響で不動産市場は活況を呈していましたが、山梨県という都心から離れた場所での販売は、都内のように簡単にはいきませんでした。
リニアモーターカーへの期待
当時、リニアモーターカーの実験線が1997年頃に完成し、その後本線となり山梨県に駅ができるという計画がありました。この計画により、将来的な値上がりが期待されていました。1988年当時は、その期待に胸を膨らませていました。
リゾート法と7兆円産業の期待
1987年には、総合保養地域整備法、通称「リゾート法」が制定されました。この法律は、リゾート産業の振興と国民経済の均衡的発展を促進するために、多様な余暇活動が楽しめる場を整備することを目的としていました。リゾート法の施行により、地方のリゾート開発が活発化し、税制上の優遇措置や政府系金融機関からの低利融資が行われました。この結果、リゾート産業は7兆円規模の産業になると期待されていましたが、実際にはその期待に応えることはできず、失敗に終わりました。
36年後の現状
あれから36年の月日が流れ、ようやくリニア中央新幹線の開通の目途が立ってきました。しかし、当時の期待とは裏腹に、現在の中古流通価格は500万円から600万円程度に低迷しています。長い年月を経て、当時の期待と現実のギャップを感じずにはいられません。
このように、1988年の思い出と現在の状況を振り返ると、時代の移り変わりとともに変わっていく不動産市場の現実を実感します。