今も昔も変わらない投資用ワンルームマンション営業の強引な商法

1985年ごろの投資用ワンルームマンション業界

1980年代半ば、投資用ワンルームマンション業界は急成長を遂げました。その草分け的存在が「マルコー」でした。当時、本社を中野区中野に構え、資本金3億4千万円でリース方式のワンルームマンションの販売を始め、業界最大手にのし上がりました。

二番手商法の登場

マルコーの成功を見て、杉山商事が「二番手商法」を開始しました。当時、本社を港区南青山に置き、資本金5億5千万円で事業を展開。キャッチフレーズは「少額の頭金でワンルームマンションのオーナーになれて家賃収入を得られて節税効果をもたらす」。この魅力的な宣伝文句に、多くのサラリーマンやOLが飛びつきました。

杉山商事の強引な営業手法

杉山商事は特に以下のポイントを強調しました:

  1. 少ない頭金
  2. 家賃収入
  3. 節税効果

さらに、入居者の有無にかかわらず家賃を20年間保証するという大胆な約束をしました。これに加えて、海外旅行への招待やゴルフクラブのセットをプレゼントするなど、顧客の関心を引くための様々な手法を用いました。

公正取引協議会からの指導

こうした強引な営業手法に対して、首都圏不動産公正取引協議会からたびたび指導を受けることとなりました。特に問題となったのは、新聞広告における誤解を招く表現です。例えば、「八重洲口より徒歩2分」という広告は、実際にはモデルルーム兼受付カウンターの場所を指しており、販売物件がそこにあるわけではありませんでした。

現在の状況

現在でも、手法は異なるものの、事実と異なる説明や虚偽の説明などの強引な販売方法が見られます。投資家は、過去の事例を学び、慎重な判断を行うことが重要です。

総会屋と商法改正前の企業経営

1991年と1997年の商法改正前、日本の企業経営にはいくつかの深刻な課題がありました。その中でも特に注目されたのが、総会屋の存在と、企業経営者の株主に対する意識の欠如です。

総会屋の影響

総会屋は、企業の株主総会で議事を妨害し、企業から金品を要求する者たちのことを指します。彼らは企業の弱点を突き、経営者に圧力をかけることで利益を得ていました。このような活動は、企業の健全な運営を妨げるだけでなく、株主の利益を損なうものでした。総会屋は、株主の利益を食い物にしていたのです。

株主の意識と経営者のギャップ

当時、多くの企業経営者は「会社は株主のものである」という基本的な意識が希薄でした。経営者は自らの利益や地位を優先し、株主の利益を軽視する傾向がありました。このような状況では、株主総会が形骸化し、実質的な経営監督機能を果たせないことが多かったのです。

商法改正の必要性

このような背景から、1991年と1997年に商法が改正されました。これらの改正は、総会屋の活動を制限し、企業経営の透明性と健全性を確保するためのものでした。具体的には、総会屋への利益供与を禁止する規定が導入され、違反した場合の罰則が強化されました。

改正後の変化

商法改正後、総会屋の活動は大幅に制約され、企業の株主総会がより健全に運営されるようになりました。また、経営者の株主に対する意識も徐々に改善され、企業ガバナンスの強化が図られました。 これらの改正は、日本の企業経営における重要な転換点となり、現在の健全な企業運営の基盤を築く一助となりました。