1997年に山一證券の簿外債務が発覚し、北海道拓殖銀行が不良債権問題で破綻した影響で、2000年代初頭はまだバブル崩壊の影響が色濃く残っていました。デフレが進行する中、金融機関はバブル期にはろくに審査もせずに貸し出していたのに対し、2000年代初頭には貸し渋りが顕著になり、サラリーマンがワンルームマンション投資の資金調達をするのは非常に困難でした。
しかし、デベロッパーの提携ローンに限っては、上場企業の会社員の方や公務員の方だけが何とか融資を受けることができました。この状況は、マンションデベロッパー間で限られたパイの取り合いを引き起こし、過当競争が激化しました。営業活動は非常に困難を極め、私は過当競争による疲弊を避けるために独自の方法を模索しました。
新たなターゲット層の発見
上場企業の会社員や公務員以外で融資可能な人々を調査した結果、富裕層の方や会社役員の方など、年収が2000万円以上であれば融資が可能であることが分かりました。そこで、未上場の有力会社が記載されている「会社四季報」を活用し、記載されている役員方々に片っ端から電話をかけることにしました。
効果的なアプローチ方法
会社の取締役以上の重役は多忙を極めているため、通常の勤務時間内(午前9時~午後5時)に電話をかけてもほとんどつかまりませんでした。そこで、始業前の早い時間に電話をかければ話を聞いてもらえるのではないかと考え、毎日午前7時に出社することにしました。午前7時から午前8時までの間に電話をかけまくった結果、多くの重役の方が電話に出てくれ、私の話を興味深く聞いてもらうことができました。
現代の営業活動との違い
当然、現在ではセキュリティやコンプライアンスが厳しくなっているため、始業前に一人だけ会社に出勤するなどということは難しいでしょう。しかし、当時の私はこの方法で多くの成功を収めることができました。過当競争を避け、独自のターゲット層を見つけ出し、効果的なアプローチ方法を実践することで、困難な状況を乗り越えることができたのです。
この経験は、営業活動において柔軟な発想と工夫が重要であることを教えてくれました。現代の営業活動においても、状況に応じた柔軟な対応と新たなアプローチ方法を模索することが成功への鍵となるでしょう。